食料や衣服は消費され、一定期間が経つと消えてしまいますが、住居は長期的に使用されるため、最も重要な必需品の一つです。
人間が住むためには住居が必要であるだけでなく、店舗、駅、病院、学校、会社などの建物も、日常生活には欠かせません。
これらの建築物は電気、ガス、水道などのインフラに接続されており、建物同士をつなぐために道路が必要です。
また、鉄道や河川を横断する橋も、私たちの生活には不可欠な要素です。
こうした社会の基盤となる要素を「インフラ」と呼びます。
そして、インフラを建設するために不可欠なのが施工管理です。
本記事では、施工管理について詳しく説明します。
施工管理とは?
なくならない業界(市場動向)
工事現場を目にすることはあまりないかもしれませんが、新築住宅や道路工事、ビルやマンションの補修工事、新しい施設の建設などは、どこにでも見られます。
建築や土木の業界は、日本における建築投資額が60兆円を超えるほど、非常に大きな市場となっています。
コロナ禍で少し落ち込みましたが、それまでは盛況で、東京オリンピックなどのイベントも追い風となり、建設ブームが起こっていました。
建築物は完成後もメンテナンスや定期的な管理が必要であり、長期的に新築と修理・修繕の両方が必要とされます。
つまり、建物が地球上に存在する限り、建築や土木の業界はずっと続く職業と言えます。
将来性の高い職業であると言えるでしょう。
圧倒的に求められている仕事
建設業界は、人口減少にもかかわらず需要が持続しており、施工管理という職種では求人倍率が高く、高収入が期待できる職業です。
施工管理とは、建設や土木作業を行う職人とは異なり、建設現場で作業を監督し、計画通りに工事が進むように管理する仕事です。
過酷な肉体労働が必要なわけではありませんが、建設現場で働く職人たちの作業がスムーズに進むよう、綿密なスケジュール管理や品質管理、安全管理などを行います。
建築物の新築や修繕、メンテナンスなどは、長期的に必要なものであり、建物が存在する限り、需要があると言えます。
施工管理という職種は、建設業界において重要な役割を担っているため、求人のニーズが高く、将来性が期待できます。
施工管理の仕事とは
建物を建てるには、計画的に工事を進めることが不可欠です。
このプロセスを統括するのが「施工管理」の役割です。
施工管理者は、工事の計画から始め、必要な労働者や資材の調達、現場での指示、工程管理、調整などを行います。
しかし、作業員を監督するだけで、足場を組んだり、釘を打ったり、壁を塗ったりすることはありません。
例えるなら、スポーツチームに監督がいるように、施工管理者は建築や土木のプロジェクトを完成させるために、建設現場には必要不可欠な存在です。
施工管理者が不在だと、不良工事が行われたり、工事が遅れたり、安全規制が守られずに怪我をすることもあります。
建物の欠陥も発生するかもしれません。
そのため、工事が計画通りに進むように管理する人が必要であり、施工管理者は現場に立ち会うことが法律で義務付けられています。
「体力が必要」は誤解
一般的に、施工管理の仕事は体格がよく、体力のある人が適していると思われがちですが、これは誤解です。
確かに、重い物を運ぶ労働者ならば、体力が必要ですが、施工管理者は自分自身で労働をするわけではありません。
そのため、必ずしも体力が必要というわけではありません。
むしろ、チームワークが大切で、他のメンバーと意見を交換し、現場をスムーズに運営することが重要です。
実際、最近では女性の施工管理職が増えており、大手建築会社のCMでも女性の施工管理者を紹介する広告が出ています。
施工管理は男女問わず、誰でも挑戦できる仕事であることを知っていただきたいです。
さまざまな施工管理
「施工管理」という言葉は、建設現場におけるプロジェクト管理を指す一般的な用語ですが、実際には建設現場における様々な種類の施工を管理することがあります。
「施工管理」とは、建築物を作るための様々な工事において、品質・コスト・スケジュールの管理を行う仕事です。
具体的には、
- 建築施工
- 土木施工
- 管工事施工
- 電気工事施工
- 内装施工
など、様々な分野での管理を行います。
建築物を完成させるためには、それぞれの分野の工事が必要であり、一つでも欠けると建物が構築されません。
様々なプロジェクトや使用する材料があるため、それぞれの仕事は特徴的で、独特の道具や資源を必要とします。
施工管理者は、個人的に労働をするわけではなく、チームの中で協力し、他のメンバーと意見を交わしながら、現場が問題なく運営できることの方が重要です。
そのため、一定レベルの知識を指揮することが必要です。
自分がどのような業務を担当し、どのような成果を出したいのか、明確なビジョンがあるのであれば、施工管理者のポジションを目指すことができます。
ただし、現時点でイメージできなくても問題ありません。
まずは施工管理の世界に飛び込み、具体的にイメージを膨らませましょう。
施工管理で働くメリット
日本に建物がある限り、なくならない
日本には建物や土地があるため、建築や土木工事の需要は絶えることがありません。
法律上、工事現場では必ず施工管理者が必要であり、今後ますますその数が増えていく見込みです。
そのため、安定した分野で働きたい人には、施工管理者はベストな選択肢と言えます。
この仕事は、今後ますます需要が高まるため、将来にわたって安定して働くことができます。
未経験からはじめやすい
建設現場で働くためには、「工業高校や専門学校を出なければならない」と思っている人がいますが、それは全くの誤解です。
実際に、未経験からでも施工管理の求人が多く存在しています。
必要な知識や考え方は、研修で学べることが多いため、安心してチャレンジしてみてください。
求められているだけあって給料水準も高い
建設現場での施工管理は、需要が高いため、給与水準は高くなっています。
未経験からでも始めやすく、他にも営業や接客などの仕事がありますが、稼げる額はトップクラスです。
また、売上次第で給与が変わってしまう営業の仕事とは違い、安定して高収入を得ることができます。
さらに、国家資格を取得することで手当が増え、転職の選択肢も広がります。
大手企業の施工管理技士になると年収1000万円以上が狙えるため、魅力的な職業です。
形あるものができあがるので、達成感が大きい
建設の仕事は、チームで協力して何かを作り上げる素晴らしい仕事です。
特別な技能や器用さがなくても、現場で活躍することができ、完成した建物や施設を自分の手で作り上げた達成感を味わうことができます。
個人宅の新築工事に携わった場合は、家主から大変感謝されたり、大規模な商業施設の建設に携わった場合は、ニュースで話題になったり、多くの人々に利用されることを実感できます。
さらに、周囲の人々に「この建物は私が関わったものだよ」と自慢することもできます。
資格を取得すればさらに将来安泰
施工管理には国家資格である「施工管理技士」が存在します。
この資格は持っていなくても施工管理の仕事はできますが、有資格者は専門性が高まり、仕事の幅も広がるため、機会があれば取得しておくことをおすすめします。
資格取得には実務経験や学科試験が必要ですが、多くの会社がサポートを提供しています。
また、人手不足の業界では国家資格を持つことが就職に有利であり、内定がもらえる可能性が高くなります。
ブランクがあっても大丈夫で、すぐに就職先を見つけることができます。
施工管理のキャリアパス具体例
▼STEP1▼ 未経験で入社
未経験の方にとって、研修制度が充実している企業を選ぶことが重要です。
一定の規模を持つ企業であれば、研修や待遇・福利厚生も整っていることが多く、大きな差はありません。
まずは施工管理の仕事に慣れるために、現場で経験を積むことが大切です。
▼STEP2▼ キャリアを磨く
現場での経験を積み、仕事に慣れたら、より大規模な仕事に挑戦するか、少し違った種類の仕事に転向することも考えられます。
また、待遇や福利厚生に不満があれば、大手企業などへ転職するのもひとつの選択肢です。
会社が資格取得をサポートしてくれるなら、その制度を利用して資格取得に挑戦することもおすすめです。
▼STEP3▼ キャリアを究める
下位の資格(たとえば二級施工管理技士など)を取得することで、仕事の幅や責任が広がります。
その結果、より多くの経験を積むことができ、上位資格の取得を目指すことができます。
一級資格を取得すると、手当や転職により給料が確実に上がり、安定したキャリアを築くことができます。
大企業に転職することも可能であり、また、業界内でも引く手がある存在になることができます。
施工管理に向いてるのってこんな人
「一日中、座ってパソコン作業するなんて無理」
オフィスワークとは異なり、現場に出向く仕事が主体であり、デスクワークが向かないという方には適しています。
パソコンを使う場面もありますが、営業や事務と比較してその頻度は少なく、必要に応じてアシスタントが手伝ってくれることもありますので、安心してください。
「営業や販売など、数字のノルマを追うのに向いてない気がする」
この仕事は、会社が設定した売上目標を追いかけるような営業職とは違います。
自分で計画を立て、スケジュール通りに進めていくことが求められるため、日々計画的に行動することができる人にとっては向いているかもしれません。
パソコンを使っての計画立案やスケジュール管理を行うことが多いですが、アシスタントがサポートしてくれることもあるので、安心してください。
「専門技術とかないけど、形に残る仕事にはあこがれる・大きな仕事がしたい」
建設工事において、施工管理は不可欠な存在であることは前述した通りです。
実際の作業は行わないものの、工事現場を監督する立場として、大きな責任が伴います。
また、自分が携わった工事が長期間残るものであることから、達成感ややりがいを感じられることでしょう。
もし、長期的な視野で自分の手で何かをつくることに魅力を感じるのであれば、施工管理はぴったりの仕事かもしれません。
「一人仕事より、チームワークで乗り越えるほうが向いている」
施工管理の仕事は、一人で黙々と作業する仕事とは全く異なり、チームワークが不可欠です。
そのため、スポーツでチームで頑張ることが好きな人にとってはピッタリの仕事と言えます。
監督ポジションであっても、若いうちは自分よりも年上の人が多く、先輩や年上の人と仲良くできる人は適性があるでしょう。
「みんなで一つの目的に向かってるような現場の活気ある雰囲気が好きだ」
もし、学生時代に文化祭や体育祭の準備などで一つの目的に向かってチームで取り組むのが好きだったら、建設工事の施工管理はあなたにもぴったりかもしれません。
年齢や立場は異なっても、共通の目的に向かって一丸となって働く仲間として、この仕事を楽しめるはずです。
厳しい状況もあるかもしれませんが、その空気を作ることが施工管理の役割でもあります。
この仕事に興味を持った方は、ぜひ視野に入れてみてください。